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現地レポート

2015 君が創る 近畿総体(インターハイ) 大会4日目 現地レポート ‐スコアラーからエースへ‐ RSS

2015年8月1日 14時01分

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「平成27年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会 第68回全国高等学校バスケットボール選手権大会(インターハイ)」は4日目を終え、男女のベスト4が決定しました。
 男子は明成(宮城)、帝京長岡(新潟)、桜丘(愛知)、そして地元・京都の東山。女子は桜花学園(愛知)、明星学園(東京)、岐阜女子(岐阜)と、昭和学院(千葉)です。
 結果的には大差になったゲームもありますが、それでもやはり全国のベスト8の戦いになると内容が濃くなっていくのがわかります。

 男子の準々決勝でそれを最も濃く出したのが、京都・東山と茨城・土浦日本大学の一戦でしょう。敗れた土浦日本大学の名将、佐藤 豊コーチに「39分30秒まで思い通りに進められていたのに、最後の30秒でやられてしまった」と言わしめたゲームは、東山の#13藤澤 尚之選手の3Pシュートで【88-87】となり、それが決勝ゴールになりました。

2年生ながらチームの得点源としてアタックし続ける#8杉本 天昇選手

2年生ながらチームの得点源としてアタックし続ける#8杉本 天昇選手

 土浦日本大学の#8杉本 天昇選手は、昨日の福井・北陸戦でも28得点を挙げ、勝利の立役者になった2年生のスコアラー。今日は序盤こそシュートが入らないシーンもありましたが、「練習中から松脇(圭志)さんと僕の2人のフォワードが得点を取るのが土浦日本大学の形」と、打ち続けることで徐々にリズムを取り戻し、最終的に23得点を挙げています。スコアラーがリズムを取り戻した土浦日本大学は、前半を7点リードで折り返しますが、後半、特にゲーム終盤になると徐々に選手たちの足が止まってきます。杉本選手もタフなシュートセレクションになって、得点が伸びていきませんでした。
 もちろん連戦の疲れもあったと思います。しかし、それ以上に終盤の杉本選手を苦しめたのは、東山への応援です。地の利と言えばいいのでしょうか、東山応援団の手拍子に会場の観客も合わせたことで、土浦日本大学にとっては会場が完全アウェイの雰囲気に包まれました。

 経験豊富な佐藤コーチこそ「そんなに気にならなかった」と一笑に付しますが、それまでアウトサイドから得点を重ねていた杉本選手は、

「最初は気にしないようにしていましたけど、終盤、東山への応援が頭に入ってきて、プレイしづらかったところもあります」

 と認めます。

 その上で冬に向けて、改めてスコアラーとしての決意を語ってくれました。

「もう一度基礎から叩き込んで、勝負どころでもしっかりと得点が決められる強い選手になってウインターカップに戻ってきたいです」

 ラストショットは少しタフな体勢でしたが、それでも「今日は自分のシュートが当たっていたので、打ちました」と言う土浦日本大学の2年生スコアラーは、まだまだこれからの成長が楽しみな選手です。

 もう一人、ゲームに敗れながらも、スコアラーとしての矜持を見せた選手がいます。東京・八王子学園八王子の#8多田 武史選手です。新潟・帝京長岡とのゲームでチームトップの28得点を挙げました。しかしこちらも終盤にタフショットが続き、【64-82】でベスト4進出を手にすることができませんでした。

「後半、チームの流れのなかでバスケットができず、1対1からのタフショットばかりになってしまいました」

 多田選手はそう悔やみます。

 実は、多田選手は、対戦相手である帝京長岡のある新潟県が出身地。「親にお願いをして(新潟)県外に出てきたのに、新潟のチームに負けるわけにはいかない」と、序盤から集中力を高めてプレイしていましたが、それだけに余計に終盤の失速を悔やんでいました。
 それでも「シューターが自由にプレイできる」という理由で、県外への高校、すなわち八王子学園八王子に進学し、その中で徐々に頭角を現してきました。今日は苦しい展開となりましたが、普段から「流れのなかでシュートを打つことを心がけている」シューターは、近年、留学生選手の活躍が増えてきている高校バスケット界において、数少ない日本人のスコアラーの一人と言っていいでしょう。3Pシュートだけでなく、ドライブやペリメータ―のジャンプシュートも確実に沈めて、八王子に欠かせないエースとなっています。

3Pシュートだけでなく、状況に合わせて得点パターンを変えてくる#8多田 武史選手

3Pシュートだけでなく、状況に合わせて得点パターンを変えてくる#8多田 武史選手

 今日のゲームは、右ヒザを痛めていたこともあり、得点差が開いたところでベンチに下げられてしまいましたが、それだけにケガをしっかりと治して、冬の巻き返しを期待したい選手の一人と言えます。それでも多田選手は反省の弁をこう語ります。

「後半になって足が止まってしまったので、最後まで動き続けられる体力と、シュートタッチに波がないように、もっとしっかり体を作りたい。チームとしては、苦しい時間帯にみんなで声を出し合って、しっかりとコミュニケーションを取れるようにしなければいけないと思っています」

 最後のコメントには、中学時代から知っている帝京長岡の#4頓所 幹康選手が試合中にしっかりと声を出し、チームをまとめていた影響もあって、出てきた言葉でもあります。

「いい刺激をもらいました」

 ゲームの終盤の勝負どころで、自らの意志で攻められ、かつチームを勝利に導ける選手がエースの呼ばれるに値します。だとすれば、土浦日本大学の杉本選手や八王子学園八王子の多田選手、そしてこの夏、大事な一本を落として悔いている選手にとって、冬までの日々はエースとしての覚悟を問われる道のりになりそうです。
 夏のスコアラーが、冬までにどのような成長を遂げ、“エース”となって戻ってくるのか――。敗れてもなお、楽しみな逸材たちです。

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